月額予算を聞かれたとき、手元の資金だけで金額を置くと、あとで多いか少ないかの感覚論になりやすくなります。検索広告の予算は、1件の有効な問い合わせにいくらまで使えるかから逆算します。

受注単価、粗利、問い合わせから商談になる割合、商談から受注する割合を置くと、問い合わせ1件に使える媒体費の上限が見えてきます。その上限と、検索広告で判断材料を集めるために必要なクリック数を見比べて、初期予算を決めます。

月額予算を決める前に、問い合わせ1件の上限を置く

検索広告では、広告費を使ったあとで問い合わせや受注が発生します。だから予算の妥当性は、広告費の絶対額ではなく、採算に合う問い合わせを得られるかで見ます。

たとえば、月10万円の予算が高いか安いかは、それだけでは判断できません。問い合わせ1件から高い確率で受注し、粗利も十分に残るBtoB商材なら、10万円は検証費として成立するかもしれません。逆に、問い合わせから受注まで遠く、粗利も薄い商材なら、同じ10万円でも重い負担になります。

広告管理画面の推奨額は、配信量を考える材料にはなります。ただし、自社の採算を代わりに判断してくれるものではありません。予算は、事業側の数字から逆算して決めます。

粗利と受注率から、広告費に使える余白を逆算する

許容問い合わせ単価は、問い合わせ1件を得るために広告費をいくらまで使えるかを示す上限です。正確な数字がまだ分からない場合でも、仮の数字を置くことで、広告を始める前に無理のある計画を見つけやすくなります。

例として、1件の受注で残る粗利が30万円だとします。問い合わせから受注までの確率を10%と仮定すると、問い合わせ10件で1件の受注が見込まれる計算です。この場合、問い合わせ1件あたり3万円を広告費に使うと、広告費だけで粗利を使い切ります。

実際には、営業対応の人件費、LP制作費、運用費、継続的な改善コストもあります。そのため、粗利から単純に割り戻した金額をそのまま上限にするのではなく、余白を残して低めに見積もることが多くなります。

反対に、問い合わせから受注する確率が高い商材では、同じクリック単価でも試せる幅が広がります。広告費の上限は、広告だけで決まるのではなく、商材の利益構造と問い合わせ後の対応力で変わります。

クリック単価と問い合わせ率を入れると、採算の合わなさも見える

許容問い合わせ単価を置いたら、次にクリック単価と問い合わせ率を見ます。ここで初めて、必要な媒体費が現実的かどうかを判断できます。

仮に問い合わせ率が1%なら、問い合わせ1件を得るにはおおよそ100クリックが必要です。クリック単価が500円なら、問い合わせ1件を得るための媒体費は5万円になります。

もし許容問い合わせ単価が3万円なら、この条件では採算が合いません。月額予算を増やしても、1件あたり5万円かかる構造は変わりません。必要なのは、予算を増やすことではなく、設計を見直すことです。

クリック単価が高すぎる場合は、最初に狙う検索意図、地域、語句の範囲を見直します。高い語句へ広く出したまま予算だけを増やすと、検証前に費用が尽きやすくなります。

問い合わせ率が低い場合は、LP冒頭、フォーム導線、広告文との約束を見ます。検索者がクリック前に期待した内容へ、ページの最初の画面で答えられているかを確認します。

問い合わせの質が低い場合は、広告文で対象者や対応範囲を明確にします。件数を増やすより先に、対象外の相談を呼び込みすぎていないかを見る必要があります。

受注率が低い場合は、相談前に価格や契約条件を十分に説明できているかを確認します。導入事例が検討の助けになっているか、問い合わせ後の営業対応で必要な判断材料を渡せているかも見直します。広告で獲得した問い合わせだけに原因があるとは限りません。

この確認をせずに配信を始めると、広告費を使ったあとで「予算が足りなかったのか、設計が合っていなかったのか」が分からなくなります。

Google広告の1日の平均予算は月額予算を30.4で割って考える

Google広告では、キャンペーンごとに1日の平均予算を設定します。月額で管理したい場合は、月予算を30.4で割って1日の平均予算に直す考え方があります。

たとえば月額15万円を一つのキャンペーンに使うなら、15万円を30.4で割り、1日あたり約4,934円を平均予算として考えます。実際の管理画面では端数を扱いやすい金額に丸めることがあります。

ただし、日ごとの消化額は一定ではありません。検索が多い日や成果が見込まれる日に、1日の平均予算を上回って使われることがあります。多くのキャンペーンでは、特定の日の費用上限や月の費用上限も同じGoogle広告ヘルプ内で説明されています。

そのため、1日だけ費用が多く出たからといってすぐに失敗とは判断しません。月の上限、問い合わせの発生、検索語句の質を合わせて見ます。日別の揺れを見るより、検証期間全体で判断できるだけの材料が集まっているかが大切です。

採算が合わない計画は、増額ではなく検索意図とLPへ戻す

試算の段階で採算が合わない場合、予算を増やせば解決するとは限りません。1件の問い合わせにかかる費用が許容範囲を超えているなら、増額は損失を大きくするだけになる可能性があります。

その場合は、クリック単価の高い語句を避け、問い合わせに近い検索意図へ絞ります。LPの問い合わせ率が低いなら、ページの説明と導線を直します。対象外のクリックが多いなら、広告文で対象者を明確にします。検討段階が早い検索者が多い場合は、先にSEO記事やサービスページで不安を解消する方法もあります。

最初の予算で確認したいのは、どの検索意図が反応し、どの広告文が期待を作り、どのLPで問い合わせにつながるのかです。初期配信の広告費は、その判断材料を集めるための検証費として見ます。

BtoB商材の初期配信では、まず一つの商材を選び、顧客課題が明確な検索意図に絞って検証します。許容問い合わせ単価、必要クリック数、月に集めたい判断材料をそろえ、90日程度で見直せる予算にします。次回の見直しでは、広告費を出せたかより、次の判断に必要な材料を買えていたかを確認します。