検索広告を始めるかどうかは、広告費を用意できるかだけでは決まりません。自社が応えられる検索需要があり、その内容をページで伝えられること。届いた相談に対応でき、成果が出る前の試行費用も負担できること。この四つが、開始を考える条件になります。

兼務の担当者が限られた予算で始めるなら、最初から全商材へ広げるより、ページと営業対応を用意できる範囲で試す方が判断しやすいかと思います。90日計画も、その試行を見直すための区切りです。90日で受注が出る、広告の学習が終わるという意味ではありません。

自社が応えられる検索需要があるか

検索数の多さと、自社へ依頼してもらえる可能性は別です。仮に、新品の業務用機器だけを販売する会社が「機器 修理」の検索を見つけたとします。多く検索されていても、修理を求める人に応えられないなら、最初の配信先として選ぶ理由は弱くなります。「業務用機器 買い替え」のように、自社の提供内容とつながる問いの方が試す対象になります。

商品名で検索されていなくても、顧客が用途や困りごとで探している可能性はあります。ただし、言葉が見つかっただけでは十分な需要があるとは言えません。キーワード調査で見られる過去の検索数と、広告の表示・クリックの予測も異なる情報です。Google広告のキーワードプランナーの予測は、予算や入札などを考慮した推定です。検索数やクリック数を、そのまま見込み顧客の人数や相談件数へ置き換えることはできません。

検索される言葉と自社の提供内容が重なるなら、その範囲で反応を見る理由があります。重なる言葉がまだ見つからない状態で広い言葉へ予算を投じると、広告の設定が悪いのか、提供内容が需要に合わないのかを分けにくくなります。

検索した人が依頼条件を判断できるページがあるか

広告の受け皿には、会社紹介より先に答える必要のあることがあります。法人向けの設備点検を探している人なら、対象設備や対応地域が分からなければ、自社の設備を頼めるか判断できません。沿革や企業理念だけを載せたページでは、その疑問が残ります。

仮に、ある会社が特定メーカーの工場用設備を点検し、対応地域を県内に限っているとします。この条件に加えて、相談時に必要な設備情報や見積もりまでの流れが分かれば、依頼前の不明点を減らせます。金額を一律に示せない場合も、設備の種類や設置状況によって見積もりが変わる理由は説明できます。

専用のランディングページを新しく作ることが、開始の必須条件ではありません。既存のサービスページが検索の問いに答え、相談先まで迷わず進めるなら受け皿になります。逆に、新しいページでも対象条件が曖昧なままでは、広告費を増やしてもその不足は解消されません。

届いた相談へ対応でき、結果を確かめられるか

フォームが動くことと、問い合わせを受けて商談へ進められることは違います。営業担当者が他の業務も兼ねている場合、広告から相談が増えても返答や見積もりが追いつかないことがあります。対応できる商材や地域を絞るのは、広告の設定を簡単にするためだけでなく、受けた相談を進められる範囲に合わせる意味があります。

営業対応ができていても、問い合わせ完了の計測が壊れていれば、広告管理画面だけでは反応を判断できません。フォームを問い合わせ先にする場合は、開始前に送信が受信先へ届くことと、その完了が計測されることを確かめます。資料請求を成果として設定した場合は、資料請求が計測対象になり、受注件数を表すわけではありません。LINEヤフー広告のコンバージョン測定も、広告主が定めた行動を成果として計測する仕組みです。

設備点検の例なら、フォーム送信が増えても、対応できないメーカーの設備についての相談ばかりでは事業の結果につながりません。管理画面のコンバージョンと、営業が対応対象と判断した相談を分けて見ることで、件数の増加をどう評価するかが変わります。対象の相談が来ているのに返答が遅れているなら、広告の反応と営業の受け入れを分けて考えられます。

受注前の試行費用を負担できるか

最初の広告費が、そのまま受注で回収できるとは限りません。ページの準備や運用の費用に加え、社内で相談へ対応する時間もかかります。広告費だけなら払える状態でも、見積もりや現地確認に手を割けないなら、試す範囲を広げるのは難しくなります。

会社として試行に使える総額と、媒体へ入力する予算は分けて考える必要があります。たとえばGoogle広告の平均日予算は、毎日の厳密な支出上限ではありません。媒体やキャンペーンの請求上限の仕組みを踏まえて設定することになります。他の媒体にも同じ倍率や計算式が使えるとは限りません。

開始する時点で採算を確定するのは難しくても、追加の支出をどこまで負担できるかは経営上の条件です。問い合わせが少ないまま予算を使い切り、続けなければ判断できないという状況を避けるには、広告費以外も含めて試行の範囲を考える必要があります。具体的な予算の組み立ては、検索広告の予算を考える記事で扱っています。

90日は配信の状態から相談の進み方までを見る区切り

四つの条件がそろった後は、配信を始めてから分かることを計画へ戻します。以下は、先ほどの法人向け設備点検を一つのサービスに絞って始める仮定例です。30日ごとの区切りは見直しの例であり、各段階がその日数で完了するという標準ではありません。

最初の30日は、意図した検索からの来訪や問い合わせ完了を観測できるかを見ます。対応しない設備の検索から来ていると分かれば、配信対象や広告文を見直す材料になります。ただし、Google広告とLINEヤフー広告の検索語句レポートにはそれぞれ表示条件があり、一覧だけで全流入を説明できるわけではありません。送信や計測に不具合があれば、30日を待たずに直す対象です。

31〜60日は、届いた相談が対応範囲に合っているかを読みます。たとえば、県外からの点検依頼が続き、広告にもページにも地域が書かれていなかったとします。この場合は、地域を明示して反応の変化を見る理由があります。地域を明示していても県外へ配信されているなら、配信範囲の設定も調べる対象になります。相談件数が少ない段階では、一件の違いで率が大きく変わるため、変更の効果をすぐに断定しません。

61〜90日は、追加の支出で何を確かめたいかが継続判断になります。対象の相談があり、見積もりまで進んでいるなら、受注までの見通しと残る費用を踏まえて継続を考えられます。対象外の相談が続く場合も、配信条件やページの説明に直せる点があれば修正する余地があります。自社が受けられる需要を見いだせず、追加費用も負担できないなら、90日を消化するために配信を続ける理由はありません。

検討期間が長い商材では、90日時点で受注がなくても、相談の結果がまだ確定していないことがあります。それでも、追加配信を続けるかどうかと、すでに届いた相談を追うことは分けて判断できます。新しい支出をいったん止めても、見積もり中の案件がその後どうなったかを確かめれば、最初の試行の評価に反映できます。