月次の数字ではフォーム送信が増えているのに、営業側ではよい問い合わせが増えた実感がない。そんなとき計測設計で見直す入口は、イベント名よりも、事業として「よい問い合わせ」と呼べる状態です。
Google広告やGA4では、フォーム送信、電話クリック、資料請求、予約完了などを計測できます。Google広告のヘルプでも、広告主にとって価値のある行動をコンバージョンとして測定できると説明されています(コンバージョン測定について)。ただし、それらは画面上で起きた行動です。売上に近い成果は、その問い合わせが対応対象だったか、商談になったか、受注につながったかで変わります。
フォーム送信数だけを成果にすると、広告やランディングページは「送信されやすい問い合わせ」を増やす方向へ寄りやすくなります。問い合わせ件数が増えても、対象外の相談や重複が多ければ、事業成果を判断する材料としては弱いままです。
フォーム送信だけでは問い合わせの質を判断できない
フォーム送信は、入口の異常を見つけるためには重要です。広告をクリックした人が問い合わせ完了まで進めているかを確認できるため、計測から外す必要はありません。
ただし、フォーム送信は最終成果ではなく、問い合わせが発生したという入口の記録です。たとえば、サービス対象外の地域からの相談、営業目的の送信、同じ人からの重複送信も、画面上では同じフォーム送信として数えられることがあります。
この状態でGoogle広告の成果をフォーム送信だけで評価すると、広告費を増やしてよいのか、検索語句を除外すべきなのか、ランディングページの説明を直すべきなのかが分かりにくくなります。必要なのは、送信後にどの段階まで進んだかを追える設計です。
受注から逆算して問い合わせの段階を分ける
計測するイベントは、受注から逆算して決めると整理しやすくなります。最終的に知りたいのは、どの広告や検索語句が売上に近い相談を生んだかです。
問い合わせサイトでは、いきなり受注だけを広告の最適化対象にするのが難しいことがあります。月に数件しか受注がない場合、Google広告の入札に使う材料としては件数が足りないこともあります。そのため、最初は入口の行動も測りながら、社内の対応記録で品質を補います。
段階を分けるときは、次のように「何を数えたのか」が分かる定義にしておきます。
| 段階 | 定義の例 | 主な使い道 |
|---|---|---|
| フォーム送信 | 問い合わせ完了画面または送信完了イベントが発生した | 入口の取りこぼしやLPの問題を確認する |
| 有効問い合わせ | 重複、営業、対象外地域、明らかな対象外相談を除いた | 広告や検索語句の質を確認する |
| 初回対応完了 | 電話、メール、面談調整など最初の対応が成立した | 受付体制や対応速度の問題を確認する |
| 商談化 | 見積もり、提案、具体的な相談に進んだ | 売上に近い相談が増えているかを見る |
| 受注 | 契約、予約、申込など事業上の成果になった | 広告費と売上の採算を確認する |
この表は、タグ設定表ではなく判断表です。各段階の定義があいまいなままだと、同じ問い合わせを人によって有効と見たり無効と見たりします。広告改善に使うには、社内で同じ基準で記録できることが必要です。
GA4のキーイベントとGoogle広告のコンバージョンは用途が違う
同じ問い合わせ完了でも、GA4で見る場合とGoogle広告で使う場合では役割が変わります。混同すると、分析したい行動と広告配信に学習させたい行動がずれてしまいます。
GA4では、ビジネスにとって重要なイベントをキーイベントとして扱えます(キーイベントについて)。問い合わせ完了をキーイベントにすれば、サイト内の流入経路やページごとの行動を見ながら、問い合わせまでの流れを分析しやすくなります。
Google広告のコンバージョンは、広告キャンペーンの成果測定や入札に関わります。広告に「どの行動を増やしたいのか」を伝える材料になるため、件数が多いだけで事業成果から遠い行動をメインにすると、広告配信の評価もその行動に寄ります。
そのため、GA4では分析のために広めに重要行動を見る一方で、Google広告では入札に使う行動を慎重に選びます。Googleも、GA4のキーイベントとGoogle広告のコンバージョンは役割が異なるものとして整理しています(Google アナリティクスのコンバージョンとキーイベントの違い)。フォーム送信、有効問い合わせ、商談、受注を同じ重さで扱わないことが大切です。
入札に使う行動は件数と定義の安定性で選ぶ
Google広告の入札に使うコンバージョンは、事業成果に近いほどよいとは限りません。成果に近すぎて件数が少ない場合、広告側が判断する材料を十分に得られないことがあります。
現実的には、次の3つを満たす行動から選びます。事業成果に近いこと、一定の件数があること、定義が安定していることです。Google広告ではメインとサブのコンバージョン アクションを分けられるため、入札に使う成果とモニタリングする成果を同じ扱いにしない設計ができます(メインとサブのコンバージョン アクションについて)。
たとえば、月にフォーム送信が40件あり、そのうち有効問い合わせが18件、商談化が6件、受注が2件だとします。この場合、受注だけを入札に使うには件数が少ない可能性があります。まずはフォーム送信を計測しつつ、有効問い合わせや商談化を社内で記録します。件数と定義が安定してきた段階で、Google広告へ戻す対象を見直すほうが安全です。
試算すると、広告費が30万円でフォーム送信が40件なら、フォーム送信単価は7,500円です。しかし有効問い合わせが18件なら、有効問い合わせ単価は約16,700円です。受注が2件なら、受注1件あたりの広告費は15万円です。どの段階で見るかによって、広告の評価は大きく変わります。
問い合わせ後の記録までつなぐと改善先が見える
計測設計を広告管理画面だけで完結させると、フォーム送信後に何が起きたかが抜け落ちます。問い合わせサイトでは、送信後の対応記録まで含めて設計するほうが改善に使いやすくなります。
記録する項目は、最初から複雑にしなくてもかまいません。まず、問い合わせ日時、流入元、広告キャンペーン、問い合わせ内容を残します。次に、有効問い合わせかどうか、初回対応の可否、商談化、受注の有無を追えるようにします。ここまで分かれば、広告とサイトのどちらを直すべきかを考えやすくなります。
対象外の問い合わせが多いなら、広告文や検索語句、ランディングページの冒頭で対象範囲を明確にする必要があります。フォーム送信はあるのに初回対応ができないなら、広告より受付体制の問題かもしれません。商談化しない問い合わせが多いなら、価格、対応条件、事例、よくある質問の見せ方を見直す余地があります。
次回の改善では、フォーム送信の件数を見続けるだけでよいのか、有効問い合わせを主要指標へ進めるのか、商談化まで追える記録を整えるのかを決めます。下流の成果へ一段進めるほど、広告費を増やす判断、検索語句を絞る判断、LPの説明を直す判断が同じ記録から話しやすくなります。