月次レポートを開くと、Google広告とGA4でコンバージョン数が違っていることがあります。同じ問い合わせ完了を見ているように見えても、二つの画面は使う目的や集計条件が違うことがあります。

まずは、その差を二つに分けます。集計条件の違いで説明できる差なのか、タグやフォーム導線の不具合として調べるべき差なのかを切り分けます。

数字だけを見比べると、原因は分かりません。GA4で記録された一件のフォーム送信が、Google広告のどのコンバージョン アクションへ届き、どの条件で集計されたのかを追うと、正常な差と調査すべき差を分けやすくなります。

数字が違うこと自体は計測不良とは限らない

GA4とGoogle広告は、同じ成果を別々の目的で見ています。最初にこの役割差を押さえると、数が合わないだけでタグ不良と決めつけずに済みます。

GA4は、サイトやアプリの行動を分析するための画面です。広告以外の流入も含めて、ユーザーがどのように行動したかを見ます。Google公式でも、GA4のキーイベントはビジネス成果にとって重要なアクションを測定するイベントとして説明されています(キーイベントについて)。

Google広告は、Google広告由来の成果を評価し、広告配信や入札の判断に使う画面です。同じ問い合わせ完了でも、GA4で分析する行動なのか、Google広告で入札に使う成果なのかによって扱いが変わります。

Googleは、GA4上のキーイベントと、Google広告で使うコンバージョンは役割が違うものとして説明しています(Google アナリティクスのコンバージョンとキーイベントの違い)。GA4のイベントやキーイベントからGoogle広告コンバージョンを作成し、共有することもできます(Google 広告で Google アナリティクスのイベントからコンバージョンを作成する)。だからこそ、同じ名前の「問い合わせ完了」でも、どこで作られ、何に使われているかを分けて見ます。

同じ行動と同じ期間にそろえてから比べる

比較の入口では、同じ行動を同じ期間で見ているかを確認します。問い合わせ完了という名前が似ていても、片方はフォーム送信イベント、もう片方はサンクスページ表示を見ている場合があります。

まずGA4のイベント名と、Google広告のコンバージョン アクション名を照合します。次に、そのGoogle広告コンバージョンがGoogle広告で直接作られたものか、GA4のイベントから作成されたものかを確認します。作成元が違うと、同じ行動に見えてもタグ、対象チャネル、カウント方法が違うことがあります。

期間もそろえます。GA4で7月1日から7月31日を見ているなら、Google広告側でも同じ期間を選びます。ただし、同じ日付範囲にしても、後で説明するアトリビューションや反映タイミングによって月別の数字はずれることがあります。最初にそろえるのは、原因を一つずつ消すためです。

一件のフォーム送信をGA4からGoogle広告まで追う

全体の数字だけを見るより、実際の一件を追うほうが原因を見つけやすいことがあります。ここでは説明用の仮定として、あるBtoBサイトでGA4の問い合わせ完了が12件、Google広告のコンバージョンが8件だった場合を考えます。架空の実績ではなく、差の見方を説明するための例です。

まず、実際に発生したフォーム送信を一件だけ選びます。仮に7月8日午前10時14分の送信として、ブラウザで送信完了ページが出たか、GA4にフォーム送信イベントが入ったか、Google広告の該当コンバージョン アクションにも入ったかを順に見ます。

CRMや問い合わせ管理表があるなら、同じ時刻のリードが存在するかも確認します。ただし、メールアドレスや電話番号をGA4へ送って照合してはいけません。Googleアナリティクスでは個人を識別できる情報を送信しないよう注意が必要です(個人情報の送信を避けるための注意)。照合には、個人情報を含まない内部用の送信IDや受付IDを使います。

この仮定例では、GA4の12件のうち3件が自然検索からの問い合わせだったとします。GA4でサイト全体のキーイベントを見ているなら、この3件は含まれます。一方、Google広告側で見ているのがGoogle広告に帰属した成果だけなら、この3件はGoogle広告のコンバージョンには入りません。

さらに1件は、同じ広告クリック後に同じ人がフォームを2回送っていたとします。問い合わせ獲得では、同じ人の複数送信を1件として見たいことがあります。Google広告ではコンバージョンのカウント方法として「すべて」または「1回」を選べます(コンバージョンのカウント方法について)。Google広告側が「1回」で数える設定なら、同じ人の重複送信はまとめられます。

このように見ていくと、12件と8件の差の一部は自然検索分、同じ人の複数送信、Google広告のカウント方法で説明できます。説明できる差が見つかれば、数字が違うことをすぐにタグ不良とは判断しません。

メインとサブは入札に使う数字か監視する数字かを分ける

Google広告側のコンバージョン アクションでは、メインとサブの扱いも確認します。見えている列が違うだけで、同じ成果を比べていないことがあります。

Google広告のヘルプでは、メインのコンバージョン アクションは通常のコンバージョン列や入札に関わり、サブは主にモニタリング用途として扱われます(メインとサブのコンバージョン アクションについて)。GA4から作成されたコンバージョン アクションは、重複カウントを避けるためにサブとして設定される場合もあります。

たとえばGA4由来の問い合わせ完了をサブにしていて、Google広告の通常の[コンバージョン]列だけを見ているなら、その数字はGA4のキーイベント総数とは揃いません。逆に、直接タグで作ったフォーム送信とGA4由来のフォーム送信を両方メインにしていると、同じ行動を二重に評価する可能性があります。

メインかサブかは、重要度の高低ではありません。入札へ返す数字なのか、改善の手がかりとして見る数字なのかの違いです。GA4のキーイベント、Google広告のメイン、Google広告のサブを同じ列で見比べると、差の理由を説明しやすくなります。

期間とアトリビューションの違いで月別の数字はずれる

行動名、作成元、メインとサブをそろえても、期間とアトリビューションで差が出ます。特に月末をまたぐ問い合わせでは、どの日の成果として表示されるかが変わります。

たとえば6月30日に広告をクリックし、7月2日に問い合わせた人がいたとします。Google広告のレポートでは広告接触があった日に成果が結びついて見えることがあります。GA4やCRMでは、フォーム送信日を基準に見ていることがあります。タイムゾーンが違えば、深夜帯の送信は日付そのものがずれることもあります。

アトリビューションの考え方も差を作ります。Google広告だけを貢献対象にする見方なら、広告接触のある成果に寄ります。GA4で有料とオーガニックを含める見方なら、同じ問い合わせでも自然検索やメールへ貢献が割り当てられることがあります。GA4イベント由来のコンバージョン、貢献対象チャネル、計測期間、タイムゾーンによって表示差が起きることは、Googleの説明でも確認できます(Google広告とGA4のコンバージョン差の説明)。

反映の時間差もあります。同期や処理が終わる前に見比べると、片方だけ少なく見える場合があります。Google広告側でも、コンバージョン達成までの時間、タグ設定、反映遅延、ルックバック、アトリビューションなどが不一致の原因になります(コンバージョン数が合わないときの確認項目)。

説明できない差だけを計測不良として調べる

ここまで見ても説明できない差が残る場合に、タグ実装や重複設定を疑います。最初からタグを直しにいくより、条件違いで説明できる差を取り除いてから調べるほうが安全です。

GA4だけが多いなら、広告以外の流入を含めて見ていないか、同じイベントがGA4側で重複していないかを確認します。Google広告だけが多いなら、同じ行動を複数のコンバージョン アクションとしてメインにしていないか、カウント方法が想定と違っていないかを見ます。

両方とも急に減った場合は、片方のレポート設定よりも、タグの発火、フォーム完了導線、同意設定、サイト変更を疑います。特定のページだけずれるなら、サンクスページの再読み込み、二重送信、別フォームのイベント名を確認します。期間によって差が大きい場合は、比較期間、アトリビューション、レポート反映のタイミングを見直します。

Google広告とGA4は、用途ごとに見る数字を分けます。広告の入札判断にはGoogle広告で使うコンバージョンを見ます。サイト全体の改善や流入別の分析にはGA4を見ます。営業の実件数や売上判断にはCRMや受付記録を見ます。説明できない差だけを計測不良として調べると、必要な修正に集中できます。