検索広告の月次レポートで気になる変化を見つけても、「LPを改善してください」という一言では制作担当へ渡せません。受け手には、依頼を判断する材料がないためです。根拠にした事実も、次に確認する対象も分かりません。作業をどこまで進めれば完了なのかも判断できません。
サイト改善へ進める前に、観測できた事実と原因の見立てを分けます。まだ見えていないデータも残し、次に確認する対象に応じて担当者を決めます。この準備ができると、広告担当の気づきを、受け手が判断できる一件の依頼として渡せます。
検索広告の月次レポートで次に扱う論点が一つ選ばれたら、受け手が依頼の扱いを判断できる状態まで整えます。受領できる根拠がなければ調査へ戻します。複数の作業が混ざっていれば分けます。候補同士の着手順は、改善バックログへ渡した後に決めます。
月次レポートで選んだ一つの論点をそのまま改善依頼にしない
月次レポートに書かれた変化は、改善依頼のきっかけにはなります。ただし、変化を見つけたことと、直す場所が分かったことは別です。
最初に、観測範囲を固定します。どの媒体のどの期間を見たのかを残します。対象となるキャンペーンや広告だけでなく、遷移先のページまで特定しておくと、どの変化を指しているのかがぶれません。前月との比較なら、予算や配信範囲などの条件が変わっていないかも確かめます。
そのうえで、レポートから確かめられる事実だけを書きます。「特定の検索語句からクリックがあった」は観測事実です。「その検索者はページの説明に納得できなかった」は、まだ原因仮説です。この二つを一文にまとめると、確かめていない原因がそのまま制作指示になってしまいます。
検索語句だけでは変更するページを決められない
検索語句は、検索者の関心を知る手掛かりです。しかし、レポートに見えている語句だけで配信全体やサイト上の問題を説明することはできません。
Google広告の検索語句レポートでは、広告表示につながった検索語句と掲載結果を確認できます。クエリ アクティビティが十分でない検索語句は、データのプライバシーに関する基準を守るためにレポートから除外される場合があります。LINEヤフー広告も、検索クエリーの確認方法で、多くの利用者に検索されたクエリーだけが表示対象になると案内しています。どちらも、広告表示につながった検索の完全な一覧ではありません。
直近の実績値は、レポートへ即時に反映されるとは限りません。Google広告はデータの更新頻度を指標別に示しています。LINEヤフー広告にも検索クエリーなどの反映目安があります。対象期間が新しい場合は、該当する指標の反映目安を過ぎてから同じ条件で見直します。
クリック後の問い合わせが少ない理由も一つではありません。配信対象がずれている場合もあれば、広告文で作った期待とページ冒頭の説明が合っていない場合もあります。ページ内の情報不足だけでなく、フォームや計測に問題がある可能性も残ります。検索語句は原因を決める答えではなく、次に何を確かめるかを選ぶ材料として使います。
次に確認する場所に応じて引き継ぐ担当を決める
引き継ぐ担当は、最初に思いついた改善案ではなく、次に確認する対象に合わせて決めます。誰へ渡すかが決まらないときは、原因仮説がまだ広すぎる状態です。
- 配信対象や検索語句との一致を確かめるなら、広告担当へ戻します。
- 広告文とページ冒頭の約束を比べるなら、広告担当とサイト担当が同じ組み合わせを確認します。
- ページに必要な説明があるかを確かめるなら、サイト担当とサービス内容を判断できる担当へ渡します。
- フォームの動作や成果計測を確かめるなら、計測または開発の担当へ渡します。
- 問い合わせ後の質や商談の進み方を確かめるなら、営業記録を確認できる担当へ渡します。
複数の場所に原因がありそうでも、一件の依頼ですべてを直そうとはしません。まず、確認結果によって次の対応が変わる点から確かめます。広告文とページの両方を変える必要があるなら、変更理由と確認方法を分けて二件にします。
どこに原因があるかを判断できる根拠がなければ、変更する場所を決めつけません。追加で確認するデータと担当者を決め、実装依頼ではなく追加調査へ回します。調査で分からなかったことも残しておけば、別の担当者が同じ確認を繰り返さずに済みます。
サイト改善として検討する箇所を一つに絞る
次に確認する対象がサイト側だと判断できたら、対象ページと確認箇所を一つに絞ります。広告の観測だけで、サイト側に原因があると確定したわけではありません。変更を提案する場合も、「LP全体を改善する」ではなく、読者がどこで判断できなくなっているのかを示します。
変更内容は、見た目の指定から始める必要はありません。受け手が知りたいのは、その場所で誰のどの疑問に答えるのかです。必要な説明と根拠が分かれば、サイト担当は実装方法を判断できます。見出しを直す方法もあれば、既存ページへの導線を足す方法もあります。
作業の完了条件も決めます。合意した変更が対象ページへ反映され、必要な公開確認が終われば、制作作業は完了です。問い合わせや商談が増えたかどうかは、その時点ではまだ分かりません。作業完了と成果確認を同じ条件にすると、公開済みの作業がいつまでも未完了になったり、公開しただけで成果が出たことになったりします。
一件の引き継ぎメモに判断材料を残す
引き継ぎメモは、レポートの要約ではありません。受け手が依頼を受領できるか判断するために、確認済みの事実と不足している情報を同じ場所へ残すものです。
対象となる論点:
確認した媒体とレポート:
対象期間:
対象範囲:
観測できた事実:
まだ見えていないデータ:
原因仮説:
ほかに考えられる原因:
次に確認する対象:
引き継ぐ担当:
提案する変更:
実装前に必要な確認:
作業の完了条件:
成果を確かめる記録:
再確認できる条件または日:
現在の判断: 追加調査 / 広告側へ戻す / サイト側へ渡す / 保留
すべての欄を長く書く必要はありません。「まだ見えていないデータ」に何も書けないときは、見落としがないかを受け手と確認します。「ほかに考えられる原因」を一つも挙げられないときは、原因仮説を事実だと思い込んでいないかを見直します。
「提案する変更」は、受け手が検討する案です。決定事項として固定しません。確認した結果、別の変更のほうが読者の疑問へ答えられるなら、理由を記録して差し替えます。
成果を確かめる時期はデータがそろう条件から決める
すべてのサイト改善を「変更から四週間後」に判定する必要はありません。広告データが反映されるまでの時間は、媒体によって異なります。コンバージョンをどの期間まで数える設定なのかも確認します。
問い合わせ数が少ないときは、その件数だけで変化の有無を断定しません。比較に必要な記録がまだ足りない場合は、何がそろえば再確認するかを決めます。
Google広告では、広告のクリックから特定のコンバージョン アクションまでの所要時間を、コンバージョン達成までの期間レポートで確認できます。コンバージョン計測期間は、コンバージョン アクションごとに設定されます。LINEヤフー広告の検索広告も、コンバージョンの測定種別によって計測期間や計上条件が異なります。媒体名だけを基準に判定日を決めず、対象の測定種別と実際の設定を確認します。
問い合わせ後の商談や受注までを成果として追う案件では、広告管理画面にコンバージョンが反映されても、その後の結果はまだ確定していません。その場合は「変化なし」とせず、どの記録がそろえば判断できるかを引き継ぎメモへ残します。
成果を確認するまで同じ場所を一切変えられないわけではありません。ただし、同じ仮説に関わる変更を重ねると結果を分けて考えにくくなります。先に変えてよい範囲と、成果を判断するまで変えずに残す範囲を受け手と決めます。
受け手が判断できたら改善バックログへ渡す
引き継ぎの完了は、依頼を送った時点ではありません。受け手が記録を読み、次の扱いを判断できた時点です。
根拠と対象範囲が足りていれば、受け手はサイト改善候補として受領できます。どこに原因があるかを判断する情報が足りなければ、追加調査へ戻します。一件に複数の変更が混ざっていれば、別々の依頼に分けます。実装前にサービス内容や法務上の確認が必要なら、その確認を先に済ませます。
受領されたサイト改善候補は、Webサイト改善のバックログへ渡します。そこで、ほかの候補と比べて着手順を決めます。
手元の月次レポートから、次に扱う論点を一つだけ選んでください。引き継ぎメモの「観測できた事実」と「まだ見えていないデータ」を書き分ければ、追加調査が必要かどうかを受け手と確認できます。